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都留 智仁; 加治 芳行
no journal, ,
原子炉構造材料における耐食性の向上において、Crの増量やMoの添加が応力腐食割れを抑制することが知られている。しかしながら、添加されたMoの粒界への偏析が見られ、中性子照射により空孔濃度が増加することから、拡散に対する影響を考慮する必要があると考えられる。そこで本研究では、鉄中の不純物元素の拡散傾向に対して、不純物と空孔の結合エネルギーと不純物の移動のエンタルピーを遷移状態理論に基づく第一原理計算により評価した。また、拡散のジャンプ頻度は格子動力学に基づく格子振動からエントロピーの寄与を評価し、不純物拡散と偏析を定量的に明らかにした。
五十嵐 誉廣; 小松 篤史; 山本 正弘; 加治 芳行
no journal, ,
粒界腐食は金属材料の局部腐食の形態の一つで、金属材料の結晶粒界のみが選択的に腐食される現象である。原子炉や再処理施設の安全運用のためには、材料劣化現象の一つである粒界腐食の機構を理解することが重要である。粒界腐食に対しては多くの研究がなされ、さまざまな材料,使用条件などにおける腐食機構が明らかになり対策がなされてきた。しかし、未だその機構が理解されていない材料があり、さらなる機構解明に向けた努力が必要である。本研究では、ステンレス鋼の粒界腐食現象を理解するためのセルオートマトン粒界腐食モデルの開発を行った。開発モデルを用いてシミュレーションを行い、実際のステンレス鋼粒界腐食現象と比較した結果、腐食試験によって発生した粒界腐食の外観と類似の粒界腐食を再現することができた。また、金属の腐食速度に対して粒界の腐食速度を相対的に見積もることができることを確認した。
蕪木 英雄
no journal, ,
鉄等のBCC結晶構造を持つ金属の破壊現象においては、温度やひずみ速度の変化により延性から脆性破壊に遷移することが知られている。この延性-脆性遷移の原因を明らかにするために、実験,理論,数値シミュレーションによる解析が行われてきたが、き裂,転位等の振舞いをマクロからミクロに至る広範囲のマルチスケール的観点から追跡する必要があり、未だ根本的な理解が得られているとは言い難い。ここでは純鉄の延性-脆性遷移のメカニズムを原子のレベルから探るため分子動力学法を用い、粒界を導入し、温度,ひずみ速度等の幅広いパラメータ領域で数値シミュレーションを実施した。この結果、分子動力学法で設定するひずみ速度が大きいため、実験に比較して遷移温度が高温側へ移動していることを見いだした。